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おでんゲスト
老けたな自分、鏡に映る白髪混じりで干し葡萄の様なしわだらけの顔を見て思う。今の自分はとてもじゃないがカツカレーだの味噌キムチチャーハンだのをくえないだろう。それもそのはず、自分は85歳なのだから。
syamu「それじゃあ、私の一日はじまるぞ、それでは病院へ行ってみよう!ウォウフォーウフォウフォウフォウフォウフォウフォウフォーウ、ウォウ!」
彼は無駄に健康で病院に行く必要は無いのだが、そこには暇を持て余した年寄り仲間がいるので、彼らの為に良く遊びに行っているのだ。
syamu「ウィイイイイイッス!
どうも〜syamuで〜す
あっ、今日は、お楽しみ会当日ですけども、参加者は、長谷川君と田所さんしか来ませんでした…残念ながら…はい」
長谷川「おっ、俺はざっ、残念な奴じゃ、ない」長谷川は去年から病院に入院した。前立腺がんの治療の為である。
田所「この部屋の患者は俺と長谷川しかいないってはっきりワカンだね」田所は90代の年長者だ。もう歳の為に入退院を繰り返している。今回の入院も老人ホームで発作を起こし、一時は昏睡状態に陥ったのだ。
syamu「二人とも暇そうやし本を持ってきたで」syamuは水泳選手の雑誌とAV大全集を彼らに手渡した。
長谷川「あっ、ありがとう、こっこれで色々捗るよ」
田所「イキスギィ、やっぱり海パン履いてる男の子は可愛いってはっきりわかんだね。」
syamu「二人とも、とりあえず落ち着け。まあいいんだけどさ、いいんだけど病院やし人様に迷惑かけちゃダメやろ。あっ、おほ〜」
二人を諌めながらsyamu本人も偶然見かけたナースさんに勃起していた。
その後syamuは二人と他愛もない話を済ませて病院を出て行った。
病院の次は大切な人の墓参りである。その道中で流石の彼も疲れたのか公園のベンチに座る。
syamu「んーしょ、っとー♪あどっこらしょっとあよっこらしょういち!」
園内では子供が遊具やボールで遊んでいた。
自分も若い頃はこういう所で動画撮影をしていたな。あの頃は自分は大物になれると信じていた。だか、その結果全てを失った。家族も住所もプライバシーも居場所も。それから逃げ出し一人暮らしを始めたのだ。社会福祉と日雇いを続けながら今日まで生きてきたのである。と下らなく過去を回想していると足元にボールが転がってきた。
子供「あっ、すいません」
syamu「inじゃねーの」
syamuは子供にボールを手渡した。多分今の子供に自分がネットで有名人だったと言っても信じてもらえないだろう。
疲れが取れた彼は再び墓参りに向かう。
syamu「お久しぶりで〜す、syamuで〜す」
シバターと書かれた墓石に手を振る。
二人は年を取ってから再び愛し合う様になったのだ。しかし甘い日々は長くは続かなかった。シバターは最近この世を去ってしまったのだ。
ようやく分かり合えるようになって離れ離れになるとは、syamuは苦い思いをした。
syamu「シバターさんのためにココアヨーグルト作ってきました」
墓にココアヨーグルトを置く。そういや自分が作ったオリジナルメニューを何やかんや言いながらも食べてくれたのはあの人ぐらいだったな。syamuの頭の中のシバターは笑ったり、怒ったり、落ち込んだり、歌ったり、踊ったり。色々とアドバイスも貰ったっけ。
皺だらけの手に涙がポタポタ落ちる。もう彼はどうしようとも戻ってこないのだ。
そんな時背後からあの懐かしい声が聞こえた
「順平暗いんだよ!!」
思わず後ろを振り返るが誰もいない。
貝塚土竜はココアヨーグルトを片付けると家に帰った。
もう自分にはユーチューバーとしての活動は無理なのだろう
体力だとか歳の問題がある訳ではない、張りがないのである。
パソコンをつけ最近の動画投稿者を見る。誰もがやる気に満ち溢れ、思い思いに生き生きと行動していた。
願わくば彼らが自分の様にならないように。おしまい
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